「俺は・・・俺は変わりたい。変わっていきたいんだ。今の俺に何ができるかわからないけど・・・俺に出来ることをやっていきたい。」
それは確かに何かを決めた目だった。
決意した目。
変わりたい・・・変わろうと決めたんだ、ルークは。
ルークは見ていて欲しいといった。
私とティアに見守ってほしいと。
そう言ってくれたんだ。
私は何も出来なくて、ただ彼が苦しむところを見ていただけだった。
それなのにルークはそんな私にも見ていて欲しいといったのだ。
ティアにもそれが本気なんだっていうことはよく分かったと思う。
だけど・・・やっぱりそんなにすぐに変われるの?っていう思いもあるみたいで、すぐにYesと返すことは出来なかったようだ。
私だって変わるってことが簡単じゃないってことぐらいわかるから、それも正しい判断だなって思えるの。
変わりたいって思っても、途中で挫折してしまう人もおおいのだから・・・・
ルークは違うって信じたい。
だけど、信じることって難しいから。
あと少し、あと少し彼の決意を示してくれれば、私もティアも納得できるのに・・・・
私がもどかしい思いで彼を見ていると、ルークは少し考えてからある行動にでた。
「ティア、ナイフもってたよな?」
「・・?えぇ持っているけど・・」
スッとナイフを手渡しながら、ティアは不思議そうにルークを見た。
私も彼女と同じ気持ちで、彼の行動を見守った。
ルークは左手にギュッとしっかりナイフを握って、右手でその赤く長い髪を握った。
まさか・・・!?一つの仮定に思い至ったときには、彼の手は最後まで動ききっていた。
ザクッ・・・・
そんな音をたてて、あの長かった髪が短くなった。
「これで今までの俺とはお別れだ・・・」
どこかすっきりした表情で私たちに告げるルーク。
彼がその右手を緩めると、そこからふわっと髪の毛が飛んだ。
白いセレニアの花にまぎれて、赤いそれが舞った。
風が吹く。
けれど、もう彼の髪がそれに大きくたなびくことはない。
それが、彼の思いそのままをあらわしているようだった。
もう、誰かの意見に流されない。
ただ、自分を強く持ち続けていけるように・・・
「そうね・・・」
「ずっとみているよ、これからのルークを・・」
私たちは新たなスタートをきった彼に向けて微笑みを返した。
新しく生まれ変わったルーク。
過去と同じ過ちを繰り返さないように、変わっていこうとするルークを・・・・
私たちはずっと見守っていきましょう。
それが、私たちの新しい決意です