全てが終わって、俺は帰ってきた。
この場所に・・・戻ってきたんだ。




優しく迎えてくれる人々。
以前はあんなにもうっとおしく感じていた母上が、無性にこいしく感じて。
あんなにも冷たいと感じた父上が、とても温かく思えた。



俺は・・俺たちは、このオールドランドを救った英雄として扱われた。
父上も、母上も、叔父上も・・・みんなみんな、よくやったといってくれた。
誇れることだと、そういって、俺たちに賞賛の言葉を投げかける。




以前だったら、威張りつくして当たり前のようにその言葉を受け取っていただろう。
だけど・・・今の俺には、そんなことはできなかった。





知ってしまった。



俺はルークじゃないって、知ってしまったから。
本物からレプリカ情報を引き抜いて作られた劣化人形だってことを。





優しい人々。温かい人々。
その全てが、俺には心ぐるしかった。
今の俺には全てが重荷に思えたんだ。


ともに旅をしたみんなは、とっくに自分のやるべきことをするために、それぞれの場所に戻っていて。
ガイもマルクトへといってしまった。
皆それぞれ自分の道を決めたのに、俺だけは何も決まっていない。
それどころか、こうしていまいるこの場所だって、もともとはアッシュのものだ。
俺はそれを奪ったにすぎないのだ。




俺はたくさんの命を奪ったのに。
アクゼリュスを崩落させたのは俺なのに。
それなのに、そんなこと無かったのかのように俺を英雄扱いする人々。
苦しいんだ、無性に。



俺がしたことなんて全然たいしたことじゃなくて。
救えたものも確かにあるけど、奪ってしまったものもたくさんあるんだ。





たくさんの、たくさんの命が俺のせいで消えた。




「英雄」という言葉に踊らされて、俺は間違ったことをしてしまった。


なぁ。
俺は、本当は英雄なんかじゃないんだ。


預言に読まれたとおりたくさんの人を殺した、ただの殺人兵器なんだよ。
俺は英雄なんて呼ばれるような人じゃないんだ。



俺は・・・俺は、ただの人殺しなんだ――――










Eiyunantedokonimoinai Orehatadanohitogorosida