「Trick or treat!」
怪しげな格好の二人組はこれまた不可思議なことを言った。
☆お菓子を強請る日☆
「一体何のつもりだ」
むすっとした表情で言ったアッシュ。
いつもとおなじようでけれど確かにそこには戸惑いが表れていた。
「何って・・・アッシュ、『Trick or treat』の意味もわからないの〜?」
「アッシュ・・バカ・・ですか・・・・?」
「それくらいわかる!俺が言ってのは何でいきなりそんなこと言い出したのかってことだ!!」
アリエッタと二人でからかうと、とたんにぎろりとにらまれた。
もちろん、そうなるとわかっていてからかったのだからにらまれても恐くない。
だが、アッシュは本当にハロウィンを知らないのだろうか・・・?
ハロウィンぐらいよっぽど特殊な環境で育たない限り誰だって知っているはずだというのに。
とはいっても、私たちはその特殊環境で育っているが。
私は書物で知って面白そうだからアリエッタに教えて仲間に引き込んだ。
シンクも同じように書物から情報を得ているだろうし、リグレット、ラルゴ、ディストたちは昔から知っているだろう。
アッシュも知っているものだと思っていたのだが・・・・
よくよく考えてみれば、私の知識の中に無かったのだから、子供のときのアッシュも知るはずがない。
ダアトに来てからは、このアッシュにハロウィンを教えようなんて人もいないだろう。
「ハロウィンだから・・・です・・・」
「・・・ハロ・・ウィン・・?なんだそれは。」
やはりアッシュはハロウィンを知らなかった。
アリエッタの言葉に通常よりも多く眉間にしわを寄せる。
予想通りの反応に思わずため息が出そうになるがなんとかこらえ、ハロウィンの説明をすることにした。
「ハロウィンってのはさ、すっごく簡単に言えば仮装してお菓子をねだるお祭りなの。お菓子を持ってないと悪戯されちゃったりするけど。」
「なんだと・・・・・?」
仮装、悪戯。
この二言に以上に反応を示したアッシュは、ゴゴゴゴゴォーという効果音が聞こえてきそうなくらいすさまじい形相でこちらを見る。
「ヒッ」
「あ、アッシュ・・?お、落ち着いてって・・」
あまりの恐さにアリエッタは涙目になりながら私の後ろに隠れる。
私も思わず後ずさりしたくなってきたが、アリエッタが後ろにいるのでそうも出来なかった。
しどろもどろになりながら何とか落ち着けようと声をかけるが、アッシュには私たちの言葉はまったく届いていなかった。
「仮装だと・・?しかも悪戯・・・・?!」
「アッシュ・・・?」
ぶつぶつつぶやいていたかと思うと、ふと黙りこむアッシュ。
あまりの怪しさに恐る恐る名前を呼ぶと、カッと目を見開いた。
「ナタリアー待ってろー!!俺が守ってやる!!」
叫びながらあっという間に走り去って行ったアッシュを止めることなどもはや誰にも不可能だった。
途中でたぶん何人か犠牲になったのだろう人の悲鳴が飛び交っていた・・・。」
「さすが六割ナタリア・・・つーかあれが私のオリジナル・・・・・・?」
「・・・かわいそう・・・です・・・」
思わず呆れを通り越して感心してしまったが、あれが自分のオリジナル―しかも記憶のコピーまでされている完全同位体―だと思うと泣きたくなってくる。
「はぁ・・もうなんかアッシュのせいでいろいろ疲れちゃったよ・・・」
「アリエッタも・・です。」
「まぁ六神将はアッシュで最後だったし・・厨房に行ってお菓子せびりに行って終わりにしよっか」
「はいです!」
お菓子ーお菓子ーとうれしそうに笑うアリエッタと共には厨房へと歩き出した。
二人の手はしっかりとつながれていて、教団員たちが微笑ましそうに見ていたとか・・・・
おまけ
「ナタリアー無事かー!?」
「アッシュー?!いったいどうしたんだよ?!」
ガシッ ガクガクガク・・・・
「レプリカー!ナタリアはどこにいる!!」
「ちょ、アッシュ、落ち着けって。ルーク首絞まってるから!!」
「答えろこの屑がー!」
「ナタリアならティアとアニスと共に買い物に出かけていますよ」
ドサッ・・・ズダダダダダダ・・・・
「ナーターリーアー!!」
「グッ・・ちょ・・・・ガク・・・・・」
「ルークー!!!しっかりしろルーク!」
「ハハハ・・元気ですねぇ〜」
おまけのおまけ
アッシュがあそこまで心配してくださるなんて・・・・ byナタリア
アッシュがものすごい形相で走ってきてすっごい恐かったわ・・・ byティア
もーあれは行き過ぎだって、絶対!アニスちゃんにらみ殺されるかと思ったもん!! byアニス
ルークが生きててよかったー!! byガイ
俺、お花畑でイオンが必死に返してくれなきゃ、きっと戻ってこれなかったと思う・・・ byルーク
ハハハハハ。イオン様に会えてよかったじゃないですかー byジェイド
よくねぇよ!!!下手したら死んでるって!! byジェイド以外全員
おわり
