「アニスのバカ〜!」



泣きそうな顔で叫ぶアリエッタの姿に心が痛んだ







アニスが悪いわけじゃ無いんです。


僕は彼とは違う…
ただそれだけのことなんです。







真実を告げることが出来ないから、僕は彼女を遠ざけるしかない
そばにいれば彼女は気付いてしまうでしょう
僕が彼ではないことに…















最初はただそれだけでした
そのためにアニスを導師守護役としました


誰でもよかったんです
彼の近くにいた人でないのなら、誰だって・・・・






でも今は…それだけの存在では無くなっているんです
















すみません アリエッタ
あなたの求めるイオンはもういないんです



すみません イオン
僕はあなたの代わりにはなれそうもありません




ごめんなさい アニス
あなたを巻き込んでしまって…辛い思いをさせてしまいます








もう後戻りはできません
それでも…だからこそ、僕は生きているのです

















この想いを伝えることは出来ないかもしれません
もともと僕たちは存在しないほうがいいのかもしれません





けれど…
どうかこれだけは願わせて下さい





アニスが幸せになれますように




さんざん苦しめてしまうあなたの幸福を
どうか祈らせて下さい







最期の、そのときまで…























「イオン様ー!ごめんなさい、私、私・・・!!」





謝りながら泣くアニス
ぽろぽろとあふれる涙をぬぐおうともせず、僕にすがりつく。











あなたが謝る必要なんて、どこにもないんですよ?















泣かないで下さい
僕なんかのために泣いちゃだめです





伝えたいことはたくさんあるんです



あなたが苦しんでいたこと、知っていて何も出来なかった僕を許して下さい
知っていて、知らないふりをしていました
それがアニスの為だと言い訳をして、ずっと向き合うこともせず逃げ続けていました



本当はもっと早くにあなたときちんと話しておくべきだったのに
僕は小さな陽だまりを手放したくなかったんです


それがなくなってしまうのか
はたまたもっと大きなものとなるのか




必ず訪れるどちらかの結果



もしも消えてしまったら、と思うと僕はもう身動きが取れませんでした
すみませんアニス
僕はあなたと過ごす毎日を、手放したくなかったんです














あぁもう時間が無いんですね…






薄れる体が最期の時を告げる





もうどうにもならないと分かっているから、僕は微笑みを浮かべた











最期は笑って別れたい











それは僕の自己満足だけど、アニスにも覚えていてもらいたいから…

















僕は不幸なんかじゃなかった
アニスと過ごせた日々は偽りではないから…
だから、僕はこの最期を後悔したりしません
































さようなら、僕の1番大切な人…