「まぁ。それじゃぁやっぱり彼なのね。」
「うん・・・でもやっぱりって・・気づいてたの?」



頬をうっすら赤く染めて、望美は朔に問いかけた。
そしたら朔はなんとなくはね、っていって微笑んだんだ。



「望美は彼が好きなの?じゃぁ他の人は・・?」



私がそう問いかけると、望美は微笑みながら答えてくれた。



「え、皆好きだよ。朔もも。だけど、彼は特別なの」

「んーにはまだ分からないかしら。好きには種類があるのよ。」
「種類・・?」
「そう。家族への好きとか、友達への好きとか。望美が彼に抱いているのはそれらよりももっと大きい好き。愛っていうの。」



大きさ・・?好きに大きさってあるのかな?
一番大きな好きって気持ちが愛・・・?



「愛ってなぁに?」



そうやって私が聞いたら、朔と望美はちょっと困った顔をした。



「なにっていわれても・・ねぇ?」
「なんともいえないよね」



二人は顔を見合わせていった。



「分からない・・?どうして?だって二人は“愛”って気持ちもってるんでしょ?」



そういうと、二人とも・・特に望美は顔を真っ赤にして照れていた。
自分の気持ちなのに、分からないの?って聞いたら、二人は言葉に言い表すことができないんだっていった。



「そういう気持ちは心で感じるものだから、説明できるものではないのよ。」
「なんか気がついたらそういう風に思ってるんだよね。」



気づいたら持ってる気持ち・・・?
そもそも、どこでその気持ちが一番大きいって決めるんだろう?
考えれば考えるほど分からなくなってきて、私の頭の中は破裂しそうだった。



「よくわかんない・・・」



その言葉に二人は苦笑いしてた。
それからちょっと考え込んで、朔がこういったの。



「愛は育っていくのよ。」
「育つ・・?」

「そう。はじめは小さな想いから始まって、それが徐々に大きく膨らんでいくの。」



気がついたらもう逃れることなんてできないくらい大きくなってるのよって朔はいった。



「種が育っていくってかんじかな。」
「種・・?じゃぁ水とかあげるの?」



朔はともかく、望美が花を育てているのなんて見たことない。
それなのに彼女は育ててるってどういうことだろう。
そうやって聞いたら、二人に大笑いされた。
むぅ。正直な疑問をいっただけなのに。



「種って言っても感情の種。恋の種ってところかしらね。」
「いつかにも分かるようになるよ。」

「そうかなぁ・・なんだか難しくってよく分からないけど。」
「難しくなんてないわ。種を見つけたら、大切に、大切に育てなさいね。」


後で後悔なんてしないように、ゆっくりでもいいから育てていくのよって二人は言った。




恋の種・・・今はまだ持ってないそれだけど。
二人が言ったようにいつか私も育てることになるのかな?