あなたを守りたい。
その思いはいつしかとても大きくなっていた。
力をなくし、小さな姿にしかなれなかった私。
そんな私を神子は精一杯守ってくれた。
守られる立場なのに、神子は私や八葉を守りたい、助けたいといった。
優しくて温かい神子。
そんな神子が私は大好きで、あなたの為に何かがしたいと思うようになった。
だけど小さな私は何もできない。
神子は一人で全てを溜め込んで、私たちを優しく包み込んでくれたのに。
私にはあなたを助けることができない・・・
熊野の地で、神子が崖から落ちたとき。
私は何も考えずに飛び降りた。
あなたを助けたい。
その一心で、私は必死に手を伸ばした。
だけど、小さな私では届かなかった。
神子の手をつかむことができなかった。
『神子!!神子を守りたい。守らせて!!』
強く願った。
神であるはずの私。
願いをかなえる側の私だったけど、その時だけは誰かに願った。
とたん体中が光って、強い力があふれてくるのを感じた。
届かなかったはずの手が届いて、気付ば私は神子をギュッと抱きしめていた。
高くなった目線。
小さくなった世界。
全てが変わった気がした。
神子は私を見て驚いていた。
突然変わった私の姿に、あなたは戸惑っていたんだね。
この姿にしてくれたのは神子で。
守りたいと思ったあなたに力をもらった。
そのおかげであなたを助けられた。
ありがとう神子。
私は大きくなったよ。
あなたのおかげで大きくなれたよ。
ずっと守ってくれていた神子。
皆を支えてきてくれた神子。
これからは、私があなたを守りたい。
こんどは私があなたを優しく包み込んであげるよ。