その優しさにどれだけ救われたのだろう。貴方だからこそ守りたいと思えるんだよ
「なんていうかアリエッタって変なとこですごいっていうかさぁ・・・」
窓から進入するといって出て行った友人を思い浮かべて苦笑いを浮かべるアニス。
どうやったらそんな発想にいたるのか不思議でたまらない。
そんなアニスをみてイオンも微笑みを浮かべた。
「そうですね、シンクをあれだけ振り回すアリエッタはかなりのつわものだと思いますよ。」
「ですよねぇー。アニスちゃんだったらシンクなんてお断りですよぉ〜」
絶対喧嘩になって終わりだと笑うアニスに、イオンはふと思い出したかのように問いかけた。
「そういえばアニスもやきもち焼いてくださいましたか?」
ズデッ
イオンの言葉にアニスは腰掛けていたベットから滑り落ちた。
思いっきり尻餅をついてしまいかなり痛かったが心配するイオンに大丈夫だから、と言い聞かせる。
アニスはもう一度ベットに座りなおすとイオンに向き合う。
「いきなり何なんですか?!もーびっくりさせないでくださいよぉー」
「すみません・・いえ、だってシンクがあれほどまでにやきもちをやいていたのでアニスはどうだったのかなぁと思いまして。」
そんなに驚かれるとは思いませんでした、とすまなさそうにするイオン。
ここまで落ち込まれると逆にこっちが悪いことをした気分になってくるから不思議だ。
「えーっとー・・・それは・・まぁ、いい気分ではなかったですけどぉ・・・やきもちってほどでもないような・・」
気恥ずかしいのかいつもとはだいぶ様子が違うアニスにイオンは笑みを深くする。
「ってことは僕、そこそこはアニスに想われてるって思っていいんですよね?」
疑問系の文であるにもかかわらず、なぜか断言されたように聞こえるのはなぜだろうか。
恥ずかしがりもせずうれしそうに言うイオンにアニスはかなり戸惑った。
「え、そんなんじゃない・・・ってわけでもないんですけどぉ・・その・・」
思わず否定しそうになるが実際はそのとおりでもあったりするので嘘を言うわけにもいかない。
かといって正直に言うのは恥ずかしすぎる。
「だからですね・・その・・「アリエッタはシンクのこと大好きなんだからっ!!」「ゴンッ」」
「アリエッタ〜・・・恥ずかしいことを大声で叫ばないでよー」
隣でアリエッタがした大告白。
彼女が叫ぶようにして言ったがためにこちらの部屋まで筒抜けだった。
聞いているこっちが恥ずかしい。
「アリエッタは素直ですから。アニスなかなか正直に言葉にしませんよね」
「だって思ったままを口にだすってなんか子供っぽいですしー」
「そうですか?僕は時にはそうすることも必要だと思いますけど」
「あたしはアリエッタみたいにはできませんから・・・」
きょとんとした様子のイオンにアニスは苦笑いを浮かべるしかなかった。
確かに伝えた方がいいときもあるけど、それはなかなかに難しい。
今までにも言えなくて飲み込んでしまった言葉はたくさんあった。
我慢することを覚えてしまえばいつの間にか吐き出す方が難しく感じられてしまうから。
「そうですか・・・でも僕はそんなアニスが好きですよ」
「はわっ?!い、イオン様?!」
今度はイオンの衝撃告白。
アリエッタに触発でもされたのだろうか?
「そんなに驚かないでくださいよ。・・アニスは僕のことどう思ってるんですか?」
「イオン、様・・・?!何を突然・・っていうかだんだん近寄ってくるの怖いんですけど?!」
じわりじわりと近づきながら問いかけてくるイオンにアニスは逆に後ずさる。
一歩進めば一歩下がり距離はなかなか縮まらない。
けれど部屋の中ではそんなにも逃げ場がなくて、すぐにイオンに手を掴まれてしまう。
「僕のプレゼントはアニスの返事でいいですから。正直に答えてくださいね、サンタさん。」
にっこりと微笑みを浮かべるイオンからアニスが逃れられるはずもなく。
真っ赤になりながらもゆっくりと口を開いた。
「あたしもイオン様のこと好きですよ」
うれしそうに微笑むイオンにアニスもつられて笑みを浮かべた。
隣にいるのが貴方だから、僕はどんなに危険な場所にでもいける
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